☞こんな読者・作者におすすめ
- ミステリーが好きのな者
- 他に類を見ない作品を読みたい読者
- 美しい文章を書きたい作者
- 憑き物を落としてほしい方
あらすじ
この世には不思議なことなど何もないのだよ――古本屋にして陰陽師が憑物を落とし事件を解きほぐす人気シリーズ第一弾。東京・雑司ヶ谷の医院に奇怪な噂が流れる。娘は二十箇月も身籠ったままで、その夫は密室から失踪したという。文士・関口や探偵・榎木津らの推理を超え噂は意外な結末を迎える。
引用元 文庫版 姑獲鳥の夏 著:京極夏彦 出版:講談社文庫
要約

姑獲鳥の夏は、京極夏彦先生のデビュー作であり、後に続く京極堂による憑き物落とし『百鬼夜行シリーズの第一弾』となる作品です。
本作は、いわゆるお勉強ミステリーになります。
500ページ以上ある作品の冒頭100ページ以上を費やし脳の作用について徹底的に言及しており、謎を解くカギがここにあります。
この脳の作用についてですが、作者の作り話などでは決してなく、実際の脳科学に基づいて綴られており、人間の脳が持つ脆弱性を的確に説明されています。
その説明から導き出される結論を一言で表すならば以下のようになります。
人間は世界を正しく認識していない。
恣意的に世界を解釈している、と言い換えてもよいでしょう。これが後に続く百鬼夜行シリーズ全体の骨格となる考え方で、京極夏彦作品を物語るための前提条件となっています。
謎解きはおまけと言っても過言ではないくらい重要で、この前提条件を必ず理解しておかなければ京極夏彦の世界観に浸ることはできません。

むずかしい話題だけど、わかりやすく解説されているから、読み進めていくうちに自然と理解できますよ。
まとめ
大長編でしかも一般的にはとっつきにくいジャンルですが、他では味わえない唯一無二の作品です。ふつうのミステリーに飽きた方はもちろん、雑学として脳科学の知識を得たい方などはぜひ一読ください。

一度読み始めるとページをめくる手がとまらなくなりますので、たっぷりと時間を確保してから読み始めることをおすすめします。
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