『FIRE 最強の早期リタイア術』の内容を要約しました
本書をひと言でいうと、FIREを達成するための具体的なメソッドを教えてくれる本です。
著書のクリスティーは貧しい家庭で生まれ育ちましたが、31歳でFIREを達成させています。
FIREはお金持ちでなくても再現可能であると教えてくれています。
もしお金を理解すれば、人生は信じられないほど気楽なものになります。大多数の人のようにお金を理解していなければ、人生は信じられないほどつらいものになります。
p.7『JL・コリンズによる序文』より引用
お金の問題を解決し、著者のように夢を叶えたい方は、本書の章ごとに要約したので、ぜひ参考にしてください。
お金のためなら血も流す
クリスティーは、中国の貧しい農村部で生まれ育ちました。世帯年収は600元(約12,200円)です。
そのため欠乏マインドが自然と育まれ、今の著者があると言っています。
貧困な環境で育ったことでお金に執着するようになったのだと。
何かが不足しているとき、それはあなたの生活において最も重要なものになります。
p.26『「欠乏マインド」とは何か?』より引用
- お金持ちになるために恵まれた環境で育つ必要はない。
桃のシロップ、段ボール箱、コーラの缶
クリスティーは7歳のときに初めてコカ・コーラを飲み、その味に感動してどうしてもお金持ちになりたいと願うようになりました。
多くのビジネス書では、欠乏マインドはネガティブと捉えますが、貧しい状況では欠乏マインドのおかげで生き残れるのです。
欠乏マインドはクリスティーに4つの重要なスキルを与えました。
- creativity(創造力) ➡ 図書館でタダで小説を読み、自分で物語を書けるほど英語を習得した。
- resilience(回復力) ➡ いじめられた経験から他人と張り合わず、見栄で散財せずに済んだ。
- adaptability(適応力) ➡ 安い家に引っ越す度に、新たな環境に慣れようと努力した。
- perseverance(忍耐力) ➡ 学位を取るために死ぬほど勉強した。
- 捨てる人にとってはゴミでも貧しい者からすれば宝の山。
(まだ)自らの情熱に従うな
クリスティーが大学の専攻を選ぶとき、仕事がないというリスクを避け、すぐに自活できる学位を選びました。
興味を持っていたのは次の3つです。
- ライティング
- 会計
- コンピュータ・エンジニアリング
クリスティーの第一志望はライティングでしたが、実際はコンピュータ・エンジニアリングを専攻しました。
大学にかかるコストと学位の価値を算出した結果、コンピュータ・エンジニアリングがライティングよりも2.81倍稼げ、一番POTスコア(コスパ)が良かったからです。

クリスティーにとって心踊る選択ではありませんでしたが、統計的には情熱に従うと失業や不完全就業が待っていたのです。
クリスティーがいま、好きなライティングを続けていられる理由は、生活費をライティングに頼っていないからです。
ぜひあなたが志望する職業・業界のPOTスコアも算出してみましょう。
心から好きなことをすれば、お金は後からついてくると期待するのは危険です。まずお金を追いかけましょう。好きなことはその後でもできるのです。
p.58『情熱と幸福はイコールではない』より引用

まずFIREしてから好きなことをするという著者の考え方には僕も完全に同意です。
- キャリアを選ぶ際は自分の情熱に従うのではなく、POTスコアを基準にキャリアを選ぶべき。
あなたは私のものだ
中国の貯蓄率は38%とアメリカや日本よりも高いです。
貯蓄率が高い理由は次のとおりです。
- 借金をすると金銭だけでなく政治的に支配される
- クレジットカードの導入が遅れていた
- セーフティネットが未成熟
- いつか必ず大惨事が起こるという人生観が刷り込まれている
これらのため、自分たち自身で身を守らなければいけなかったのです。
政府に頼るという発想自体があり得ない国でした。
もしあなたが投資家であれば、72の法則はあなたのお友だちです。あなたのお金を増やしてくれる法則です。一方、もしあなたが借金を背負っていれば、72の法則はあなたの敵に変わります。
p.62『「あなたの資産」が倍になるのにかかる時間は?』より引用
借金は未来からの前借です。
お金と時間のつながりを断ち切り、あなた自身を欺きます。
多額の借金はいかなる手段を使ってでも避けましょう。
借りてはいけない借金の種類は次のとおりです。
- 消費者ローン
- 学生ローン
- 住宅ローン
借金を防ぐためには、まずは支出をギリギリまで削りましょう。
そのうえで、金利の低いローンに借り換えて、消費者ローンは一刻も早く完済すべきです。
奨学金も返済義務がある類は、自立してすぐに返済できるようPOTスコアが高い職に就きましょう。
住宅ローンも極力避けるべきですが、返済をあとにしてローンの金利以上の利回りが期待できる商品に投資しても良いでしょう。

個人的には、住宅ローンの返済を優先すべきと思っていますが……。
- 借金をすれば他人に支配され、複利の力がマイナスに働く。
誰も助けにきてはくれない
中国の幼稚園ではお仕置きの時間がありました。
欧米とは教育の仕方が違っていたのです。
クリスティーの父が『吃苦(痛みを我慢すること)』を教えたのはこういう環境だったからです。
父はクリスティーを直接助けることはできませんでしたが、自分で窮地を脱する方法を教えてくれたのです。
このため、多くの人に欠落している、失敗に対する恐怖心がクリスティーに根付きました。
そして、がむしゃらに働き、需要のあるスキルを磨くことによって、クリスティーは特別な存在になれたのです。
- 自分自身でセーフティネットを構築する。
ドーパミンについてわかったこと
クリスティーが中産階級になって初めてバッグを買ったときは心の底から幸せを感じました。
しかし5つ目を買ったときは記憶すら残っていません。
ヘドニック・トレッドミル現象と言い、人は幸せになれる生き物だと知りました。
幸福とは相対的なものです。
過去や他人と比べてしまうのは、脳の機能であり、ポジティブな刺激だけでなく、刺激への期待にも反応するためです。
しかし、この現象はモノの所有に対して言えることであり、経験には当てはまりません。
旅行に行く度に毎回新鮮な感動を味わえるのもこのためです。
より多くのモノを所有するほど、人はより不幸になり、よりストレスを抱えるということです。逆に、より少ないモノを所有し、旅行や新たなスキルの習得など経験によりお金を使うほど、人はより幸福になり、より人生に満足するのです。
p.86『すべての支出が平等ではない』より引用
すべての節約に痛みが伴うわけではありません。
節約の秘訣は誰かがつくったテンプレートをただ模倣するのではなく、自分なりにカスタマイズする必要があります。
その方法を4つのステップで解説します。
- あなたを幸せにしない基礎的な支出を削る ➡ 銀行の手数料・利用していないサブスクなど
- 痛みを伴う支出を削る ➡ 外食・遊興費・タバコなど、いずれ慣れるであろう支出
- 所有している高額品を減らす ➡ 持ち家・自動車など想定外の費用負担がかかるモノ
- ご褒美を加える ➡ 支出が最適化して余った一部で、自分にとって本当に必要なモノを買う
支出の最適化は、本ブログの『ぽんこつ流FIRE術ステップ2 家計の最適化する』でも解説しているので参考にしてください。
節約した金額より少額であれば、より幸福な生活のために使いつつ、貯金残高も増やせます。
予算の立てるためには次の2つを理解しておく必要があります。
- 支出で満足感を得られるかどうかは脳が決める
- 人間の脳は千差万別
自分にとって最適なお金の使い方を模索しましょう。
- お金には中毒性がある。
- 支出は、基礎的な支出・ご褒美・想定外の費用の3種類がある。
- お金の使い方は自分で試行錯誤しながら見極める。
- 自分に合うお金の使い方を見極めるには4つのステップを踏む。
マイホームは投資ではない
なぜ持ち家は最悪の投資なのか
理由は、家を持つと多額のお金がかかるからです。
- 購入時の手数料 ➡ 約1,250ドル
- 修繕維持費 ➡ 年間約4万5,000ドル
- 固定資産税 ➡ 年間約4万5,000ドル
- 火災などの保険料 ➡ 年間約2万2,500ドル
- ローンの利息 ➡ 9年間で16万2,033ドル
9年後に売却したくなってもこれでは利益はほぼ0%です。
市況が悪ければ赤字もあり得ます。
持ち家は、不動産業者・政府・保険会社・銀行にとっては良い投資ですが、持ち主にとっては最悪の投資なのです。
それでも住む場所は必要です。
そこで持ち家か賃貸かは『150の法則』で決めましょう。
150の法則は、毎月の住宅ローンの返済額に150%(2.5倍)をかけ、それが家賃より上回るなら賃貸の方が有利という法則です。
たとえば、家賃が5万円に住んでいて、毎月のローンが12万5,000円を超えるなら賃貸にした方が有利です。

※150の法則はアメリカでの話であり、日本でも同じとは限らないのでご注意ください。
クリスティーも、最終的に持ち家は選ばずに賃貸を選択しています。
お金持ちは自分たちのお金をどうしているのか?
家を買わずにお金持ちはお金をどうしているのか、をクリスティーは調べました。
そして、ロバート・キヨサキ氏の『金持ち父さん貧乏父さん』を支持しています。
金持ち父さん貧乏父さんの内容は以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
クリスティーが金持ち父さんから学んだことは次のとおりです。
- 貧しい人はモノを買う
- 中産階級は家を買う
- お金持ちは投資資産を買う
- 住宅の所有にはお金がかかる
- 持ち家の売却益はローンなどで相殺される
- 住宅ローンの返済額が家賃の150%以上であれば賃貸が有利
- お金持ちは投資資産を買う
本物の銀行強盗
本物の強盗は銀行で働いています。
手数料の高い投資信託を売りつけ、長年にわたって預金口座からかすめ取っていきます。
この頃、クリスティーは中低所得者と高所得者の考え方の違いに気づきました。
- 中低所得者は金額で考える ➡ 私の時給は10ドルです
- 高所得者はパーセンテージで考える ➡ 私の去年の儲けは10%だった
大金を動かすようになると10ドルよりも10%の方が価値が大きくなります。
手数料10%の投資信託なんて誰が買うでしょうか?
クリスティーは、最終的にインデックス投資を選びました。
インデックス投資は、時間と銘柄を分散して定期的にインデックスファンドを買い付ける投資スタイルです。
- じゅうぶんなリスク分散が可能
- 銘柄選定が不要
- 倒産リスクが無い
- 再現性が高く、市場平均のパフォーマンスが期待できる
- アクティブファンドと比較して圧倒的に手数料が安い
インデックス投資は手数料が安く、しかもほとんどのアクティブファンドよりもパフォーマンスが上回ります。
- インデックス投資は市場平均を狙う投資法
- 指数は倒産しない
- インデックスファンドは手数料が安い
- インデックスファンドは85%のアクティブファンドのパフォーマンスを上回る
株式市場の暴落をいかに乗り切るか
ポートフォリオを構築する
現代ポートフォリオ理論では、資産は2つの指標で表されます。
- 期待値 ➡ 年率リターン(%)
- ボラティリティ ➡ 日々の変動率を標準偏差で表す
株式 | 債券 | |
期待値 | 高い | 低い |
ボラティリティ | 高い | 低い |
クリスティーは、ポートフォリオ理論とインデックス投資を結びつけ、自分たちに合ったポートフォリオの構築手順を考えました。
- 株式のアロケーション(配分)を決める ➡ 期待値の高い株式の複利効果を重視
- 指数を選ぶ ➡ 米国33% カナダ34% EAFE33%
- 投資ファンドを選ぶ ➡ 手数料が安く、誰でも買える商品を選ぶ
クリスティーは、投資信託ではなく、売買手数料の安いETFを選んでいます。
指数 | ETFの名称 | ティッカー | 経費率 |
S&P500 | Vanguard Total Stock Market | VTI | 0.04% |
TSX | BMO S&P/TSX Capped Composite Index | ZCN | 0.05% |
MSCI EAFE | Vanguard FTSE Developed Markets | VEA | 0.07% |
US Bonds | Vanguard Total Bond Market | BND | 0.05% |
Canadian Bonds | BMO Aggregate Bond Index | ZAG | 0.09% |
最終的にクリスティーが構築したポートフォリオは次の割合でした。
- 米国株20%
- カナダ株20%
- EAFE株20%
- 債券40%
リバランスの方法
投資を始めた当初は順調に利益を伸ばしていましたが、2008年にリーマンショックに巻き込まれました。
クリスティーはポートフォリオのリバランスを行いました。
資産のアロケーション(配分)が元の配分に戻るよう、値上がりした株だけを売って債券を買い直したのです。
- 株式と債券の両方を抱えているときにのみ有効
- 資産のすべてがインデックスファンドであるときが最も有効
下落した株を売ってはいけません。
最悪の失敗は、下落時に売って、回復期に利益を逃すパターンです。
安く買って高く売る。これが株式市場で稼ぐための鉄則です。
最終的には、高くなり過ぎた債券を売り、また株を買ってリバランスすることになりました。
暴落のなかでも買い続けた結果、S&P500が金融危機以前の水準に戻るまで3年半かかったのに対し、クリスティーのポートフォリオは2年で回復しました。
- 現代ポートフォリオは期待値とボラティリティで表す。
- ポートフォリオを設計・維持するには安心して持てる株式の割合を決めること。
- 指数を決め、連動するファンドを選ぶ。
- 資産の割合が変動したらリバランスして元のアロケーション(配分)に戻す。
私を救ってくれた魔法の数字
「ためこみマインド」がリタイアを先延ばしにさせる
中産階級として快適な生活を送れるようになったクリスティーですが、ある日彼女の職場でリストラがはじまりました。
リストラの恐怖と長時間労働で病に倒れていく同僚たちを見てクリスティーは思いました。
お金は、血を流す価値はあっても、死ぬほどの価値はない、と。
ここまでの原動力となった欠乏マインドが今は負の影響を与えています。
欠乏マインドが貯め込みマインドに変わり、貯金が減るのを恐れてリタイアを先延ばししているのです。
お金の対してこれまでと違う考え方が必要になりました。
導き出した答えは『金持ち父さん貧乏父さん』にありました。
ビジネスを始める
クリスティーは自分のビジネスを持つため、起業し始めます。
しかし、ブログやAmazonせどり、アプリ開発など様々なネットビジネスを試みましたがすべて失敗しました。
上手くいかないと苛立っていた時、ひとつの答えを見つけました。
お金ではなく自由こそが最も重要だという考え方
それが以下の一文です。
お金を貯めるために自分を殺すのではなく、手持ちのお金を使って自分の時間を買い戻したら?
p.164『ビジネスを始める』より引用
フリーダムマインドは、時間を使ってお金を生むのではなく、お金を使って時間を取り返すのです。
- お金を継続的に生み出すやり方で投資をしたらどうなるか?
- 投資から収入を得ることができたら?
- その収入だけで生活費を賄えたら?
こう考えると二度と働く必要がなくなります。
もちろん働きたければ働き続けることもできます。
あなたが望むなら、どちらでも選べるのです。
クリスティーは退職プランを探しました。
65歳以下でも、死ぬまで資金を枯渇させずに過ごせる方法があるかどうか?
答えはイエスでした。
4パーセントルールとは?
その鍵を握る数字は4%ルールです。
一定額の貯蓄を持っている退職者がポートフォリオから毎年一定の金額を引き出しつつ、残りの資金を再投資した場合、ポートフォリオがどうなるか調べました。
その結果、ポートフォリオの4%の資金で1年間の生活費を賄えれば、貯蓄が30年以上持続する可能性が95%になったのです。
早期リタイアするには、年間の生活費の25倍を用意すればいいとわかりました。
この状態になればもう働かなくても生きていけます。
リタイアまでの期間は、年収ではなく貯蓄率に左右されます。
- 重要なのは貯蓄率だけ ➡ 収入の多寡は無関係
- 生活費を下げ、投資金額を増やす ➡ 貯蓄率を上げれば働く年数を短縮できる
- ポートフォリオを適切に運用することが重要 ➡ 運用手数料のわずかな違いも影響する
貯蓄率が高い人は投資パフォーマンスの影響を受けにくくなります。
収入の60~70%を貯蓄に回せばおよそ10年後にはリタイア出来ます。
貯蓄のやり方さえ知っていれば経済的に自立できます。
クリスティーも52~78%の貯蓄率を維持していたおかげで、30代でリタイアできました。
- 貧困で無くなると欠乏マインドが欠点になる。
- お金で自分の時間を買う。
- 4%ルールに従えば95%の確率で30年以上資金を維持できる。
- リタイアするための最重要指標は貯蓄率。
現金クッションと利回りシールド
早期リタイアする道がみえたクリスティーですが、未解決の問題が残っていました。
- リタイア後に株が暴落したらどうなるのか?
- リタイア後の余った時間を何に使うのか?
- 保険はどうするのか?
- 子供はどうするのか?
リタイアに踏み切れないクリスティーに、夫は4%ルールに従えばだいじょうぶと説きます。
4%ルールの欠点
4%ルールの最大の欠点は、必ずしも成功が保証されていない点です。
95%の人は成功するが、5%の人は失敗しているのです。
リタイア後は生活費のために、下落局面でも株を売らなければならず、ポートフォリオが棄損させてしまうことが原因です。
この問題を解決するためにクリスティーが考えた方法は、次の2つです。
- 現金クッション ➡ 下落局面時は現預金(生活防衛費)を取り崩してしのぐ
- 利回りシールド ➡ 配当金を貯金しておく
生活防衛費の目安は、生活費の5年分あればじゅうぶんですが、利回りシールド(配当金)を併用することでもっと少なくてすみます。
配当金で生活費を補えるためです。
利回りシールドとして機能する投資商品は次のとおりです。
- 優先株
- 不動産投資信託(REIT)
- 社債
- 高配当株
最終的にクリスティーが構築したポートフォリオは次のとおりです。
種類 | 名前 | アロケーション(配分) | 利回り |
債券 | 40% | 4.4% | |
∟ | 国債 | 10% | 3.0% |
∟ | 社債 | 10% | 3.5% |
∟ | 優先株 | 20% | 5.6% |
カナダ株式インデックス | 20% | 4.4% | |
∟ | TSX | 5% | 2.5% |
∟ | 高配当株 | 5% | 3.5% |
∟ | RIET | 10% | 5.75% |
米国株式インデックス | 20% | 1.75% | |
EAFE株式インデックス | 20% | 2.5% | |
合計 | 100% | 3.5% |

日本の場合は、高配当株やREIT(リート)が組み込みやすいです。
日本の高配当株でFIREしたい方は『ぽんこつ流低リスク投資術』で詳しく解説しているので参考にしてください。
最終的にクリスティーの資産は、
- POTスコアの高い仕事で働き、
- 支出を最適化し、
- 不当に高い持ち家を持たず、
- 本当の資産でポートフォリオを構築した結果、
9年間働いただけで100万ドルに到達できました。
- 4%ルールに従っても5%の確率で失敗する可能性がある。
- 失敗するリスクの対策として現金クッションと利回りシールドを用いる。
お金を浮かすために旅行する
4%ルールに従い、クリスティーは正式に仕事を辞めました。
そして世界を旅行し、自由の味を知りました。
20か国以上旅をしたにも関わらず、その費用は家で過ごす生活費と変わらなかったのです。
そのために、3つの工夫を行っています。
- 旅先に物価が安い国をまぜる
- 航空会社のマイルを貯める
- Airbnbを利用する
注意点もあります。
- 旅行保険に入る ➡ トラブル時に必要
- ビザの更新 ➡ 日本のパスポートは最強なので問題なし
旅行しながら早期リタイアを目指しても良いでしょう。
地理的アービトラージを活用し、物価の安い国に住みながら、物価の高い国の仕事を請け負うのです。
現在ではリモートワークやオンラインでの労働がしやすいので、働く場所を問われなければ可能です。
- 世界旅行の費用は抑えられる。
- 旅の予算をデザインする。
- マイルを貯め、Airbnbを利用し、物価の安い国をまぜる。
- 旅行保険は加入必須。
バケツ・アンド・バックアップ
クリスティーは2015年のチャイナショックにも見舞われています。
しかし、この時もきちんと乗り越え、ポートフォリオは傷めていません。
設計したとおりに、ポートフォリオはきちんと機能してくれました。
バケツシステム
バケツシステムといい、お金を必要な役割に応じて異なる口座に入れておきました。
投資用のお金と生活用の現金クッションを分けることで、投資資金の取り崩しを防ぎます。
- 利回りシールドを生活用口座に移す
- 生活費が足りなければ、最も上昇している資産を必要なだけ売却する
- ポートフォリオがマイナスであれば現金クッションから補う
株式市場 | 資金① | 資金② |
上昇時 | 利回りシールド | キャピタルゲイン |
下落時 | 利回りシールド | 現金クッション |
バックアッププラン
不測の事態に備え、いくつものバックアッププランを用意しておきましょう。
- 利回りシールド
- 現金クッション
- 旅行
- 副業
- パートタイムで働く
副業については、起業する必要はありません。
あくまでサイドビジネスです。
クリスティーも起業は何度も失敗しています。
リタイア後は大きく稼ぐ必要なんてありません。

副業やパートは『好きなことで稼げるなら稼ぐ』くらいでじゅうぶんです。
早期退職できる人たちは、基本的に働き者です。
退屈することを心配するくらいなら、好きなことで稼ぐのもアリでしょう。
すくなくともイヤな働き方は避けられます。
この、選べるということが自由の証です。
バケツシステムとバックアッププランを駆使すれば、資産の増減をコントロールできます。
不測の事態が生じれば、その都度軌道修正しましょう。
リタイアは何度繰り返しても良いのです。
- 資金管理用のバケツ(口座)は、ポートフォリオ・年間生活費・現金クッションの3つ。
- 年初に生活費バケツに資金を補充する。
- 補充の優先順位は、❶利回りシールド❷含み益の売却益❸現金クッションとなる。
- 下落相場時のバックアッププランを複数用意する。
- 毎年資産と支出から健全性を測定する。
インフレ、保険も恐るるに足らず
旅行はインフレと保険の問題を解決してくれます。
インフレ
リタイア後のポートフォリオは、年齢を重ねるごとに債券など安全資産にシフトするのが定説でした。
しかしこれではインフレコストを吸収しきれません。
クリスティーのポートフォリオなら株式の割合が多いためインフレヘッジになります。
また、インフレ率は居住地域によって異なります。
保険
一般的な保険は次のとおりです。
- 住宅にかかる保険 ➡ 賃貸なら火災保険だけでOK。
- 自動車保険 ➡ そもそも車を所有する必要無し。必要ならカーシェアリングを利用。
- 生命保険 ➡ 早期リタイアすれば必要無し。
生命保険は、不測の事態が起きたときに家族の生活費を賄うための保険です。
しかし、経済的に自立し、不労所得があるなら、これが生命保険と同じ機能を果たします。
家族の大黒柱はポートフォリオなので、あなたがいようといまいと関係ありません。
もし、まだ経済的な自立を果たしておらず、保険が必要な場合、いくらもらえる保険に入るべきかは次のように計算できます。
いくら必要か – いくら持っているか = 必要な保険金額
たとえば、家族の生活費が年間400万円だとすると、リタイアに必要な資金は1億円です。
そして現在あなたが持っている資産が1,000万円だとしたら、9,000万円もらえる保険が必要です。
それも家族が自立できる歳になれば解約してかまいません。
- 旅行はインフレヘッジになる。
- リタイア後の保険は不要。
子どもはどうする?
子どもを持つかどうかは大きな問題です。
クリスティー夫婦は子どもがおらず、その点を非難されることも多々あります。
しかし、クリスティーが返す言葉は次のとおりです。
「知らないわよ、私はあなたを子どもを産むかどうかで判断しないから、私のこともそんな基準で判断しないでほしい」
p.240『子どもはどうする?』より引用
子どもがいてもFIREはできます。
子どものいないクリスティー自身の言葉では説得力がありませんが、彼女のFIER仲間のなかには子どもを持つ人たちもいます。
子どもにかかる費用は家庭によって異なります。
これはつまり、賢い選択をすれば、子育て費用は抑えられることを意味します。
お金をかけずに質の高い生活をする方法を実践している家族がいます。
30代でFIREしたジャスティン夫妻は、息子と妻と3人で世界中を旅行しています。
ジャスティン夫妻のお金の使い方は以下のとおりです。
- 住居 ➡ ボロ家を買って自分でリノベーションする。
- 食料 ➡ ディスカウントストアを利用。質や健康にはこだわる。
- 保育サービス ➡ リタイアすれば自分たちで面倒をみれるため不要。
- 移動 ➡ 新車は買わない。中古車、カーシェアリング、公共交通、自転車などを利用する。
- 医療 ➡ アメリカは高額だが、世界中を旅行していれば旅行保険料のみで済む。
- 衣類 ➡ 他の人からお下がりをもらう。

他人と比べず、自分たちの価値観で生きるなら、これらの多くは実行可能です。
最大の問題は教育費
子育てで最大の問題は教育費です。
しかし、子育てしながら旅行を続けている家族たちがいます。
彼らが実践しているのは、ワールドスクーラーです。
『We Are Worldschoolers』というワールドスクーラーのコミュニティもあります。
ワールドスクーラーたちは、旅をしながらコミュニティのなかで子どもどうしで社交性を学んだり、親たちから教育を受けたりします。
彼らは、現地の文化や言語を学び、為替レートで計算を学び、山に登って地理を学びます。
教科書からでは学べない体験がそこにあります。
テストも他人との競争ではありません。
答えが正しければ称賛し、間違ってればそこから学ぶだけです。
また、閉鎖的な世界に閉じ込められないため、非行やいじめ、派閥、オンラインハラスメントといった問題が非常に少ないです。
子どもの教育には大変な責任が伴いますが、実践者たちはぶじに子どもたちを高等教育に送り届け、ワールドスクーラーの経験を発信しています。
先駆者がいるので試したい人はマネをすれば良いだけです。
もしも上手くいかなくても元の教育課程に戻すことも可能です。
- 子育てには巷で言われるほどお金はかからない。
- ワールドスクーラーなら世界中を旅しながら子どもといっしょに学べる。
早期リタイアの負の側面
リタイア直前はワクワクするよりも、失敗するかもしれないという恐怖心が勝ります。
そのため、どんなに準備が整ったと頭ではわかっていても『あと1年、もう1年』とFIREを先送りしてしまいます。
これではいつまで経ってもFIREできませんが、クリスティーは次のように述べています。
それでかいません。恐怖心は無視すべきものではありません。
p.262『早期リタイアの負の側面』より引用
恐怖心は役に立ちます。
恐怖心があったからこそ、人類は生き延びてきました。
しかし、FIREしたい方は、恐怖心を乗り越えるため、早期リタイアとは切り離せない次の問題をあらかじめ克服しておかなければいけません。
- お金が底をつく ➡ 利回りシールドと現金クッションを準備する。
- コミュニティの喪失 ➡ FIREして離れる友人は本物の友人ではない。新たなコミュニティを探す。
- アイデンティティの喪失 ➡ もう自らの情熱に従ってもいい。
じゅうぶんな才能がなくても、競争が激しくても、じゅうぶんなお金を稼げなくても、FIREすればもうお金の心配をする必要はありません。
自らの情熱に従い、夢を叶えましょう!
- FIREすれば、自らの情熱に従っていい。
自由になるのに100万ドルは必要ない
クリスティーはエンジニアとして10万ドル以上の給与を稼いでいましたが、もしかしたらあなたはそうではないかもしれません。
たしかに高給取りの方が有利ではありますが、平均的な給与でもFIREは可能です。

僕も年収450万円でしたが、FIREできました。
本ブログのTOP記事【ぽんこつ流FIRE術】をご確認ください。
時間はかかりますが、可能な限り貯蓄率を上げれば20~30年後にはFIREできます。
リタイアを早めたければ昇進や転職で給料UPを目指しても良いでしょう。
やり方は他にもいくらでもあります。
- サイドFIRE ➡ 副業で少しだけ稼ぐ。
- パーシャルFI ➡ パートタイムなどで稼ぐ。
- 地理的アービトラージ ➡ 物価が安い国に住む。
あなたに合ったあなただけのFIRE方法を模索しましょう。
もし、副業などで稼ぎたい場合は『ぽんこつ流収入UP』で解説しているので参考にしてください。
本書は『お金をどのように使うべきか』ではなく『時間をどのように使うべきか』を問うています。
具体的に言うと『いつまでほかの誰かの支配下で働きたいか?』です。
この問いに正直に答えれば、お金に関する決断は明確になります。
- 情熱を傾けられる副業をすれば、より少ない資金でFIREできる。
- パートタイムでも可。
- 物価の安い国に住めば貯蓄額も少なくて済む。
我が道を行け
本屋の金融コーナーに行けばわかりますが、相反するアドバイスがたくさん並べられています。
どれを信じればいいのか分からず、行動に移せなくなっていませんか?
お金を稼ぐ方法は1つではないため、一見すると相反するアドバイスが共存してしまうのです。
『金持ち父さん貧乏父さん』のロバート・キヨサキ氏は、『もしお金持ちになって経済的に安心したいのであれば、懸命に働いて貯金するだけではなれません』と説いています。
しかし、クリスティーはまったくの逆で『懸命に働いてお金をコツコツ貯めれば必ずお金持ちになれる』と主張しています。
この違いは、所属するミリオネアのタイプによって異なります。
- ハスラー ➡ お金を稼ぐ能力に長けている(金持ち父さんタイプ)。
- 投資家 ➡ お金を増やす能力に長けている(ウォーレン・バフェットタイプ)。
- オプティマイザー ➡ 貯蓄に長けている(多くの人が当てはまるタイプ)。
お金持ちになる鍵は、自分に最も合った方法を選ぶことです。

僕を含めた一般の方たちは、一番再現性の高いオプティマイザーをおすすめします。
しかし、自分の行く道を決めるのは、最後はあなた自身です。
- FIREの方法論は人それぞれ違う。
- 自分のタイプに合った方法を選択する。
- お金持ちになると決意しよう。
FIRE 最強の早期リタイア術 まとめ
- お金を理解すれば人生は楽になる。
- POTスコアを基準にキャリアを選ぶ。
- 自分に合うお金の使い方を見極める。
- 安心して資産を持てるポートフォリオを構築する。
- FIREする方法はひとそれぞれ。我が道を行こう。
本ブログが提案しているぽんこつ流FIRE術も、本書の内容を踏まえて作成しているので、合わせて参考にしてください。

それでは皆さん、ご安全に!👉
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