【オリジナル小説】ザ・グレイト・エスケイプ【第18話目】

ザ・グレイト・エスケイプ オリジナル小説

第18話 検索ワード

 午後11時50分。次の消失まではあと10分。

 ユースケのウィンドウにコンプリートが表示され、実行ファイルが生成される。ようやく検索エンジンが完成した。

 ホールで作業をしていたユースケは安堵のため息をつく。

 隣で見守っていたアリアも胸を撫でおろした。テーブルにうつ伏せながら、緊張を解すように手足を伸ばす。

「ギリギリだったねェ」

「コンパイルはできたけど、テストは無理だな」

「ぶっつけ本番で検索するしかないねェ」

「見つかるかな? グランマ」

「見つけるんでしょう?」

 そうだなと言ってユースケははにかんだ。

 ケーブルを差してサーバに接続する。メタワードを収集するためにクローラが巡回を始めた。

「アリア、ありがとうな」

「うん? 急にどうしたのォ?」

「どうもしないよ。ただ、言いたいことは言っておかないとな、って。そう思ったから」

「なにをいまさら」アリアが笑った。

 そう。いまさらだとユースケも思う。それでも、いまさらでも言わないよりはずっといい。

「他にはある?」

「うん。これが全部片づいたら、聞いて欲しいことがあるんだ」

「まるで続きがあるみたい。頭の中は読まない方が良さそうだねェ。でも、失敗した時のことは――まァ、考えなくていいか」

「うん、そうしてくれ」

 終わらせてたまるか。

 ボクたちのストーリーを終わらせてたまるか。

 ユースケは何度も心に刻みつける。

「ところで検索ワードは何? やっぱり『グランマ』?」

「いや、それはきっと本当の名前じゃない。それじゃあヒットしない。見つけるのは不可能だろう」

「じゃあ、どうするのォ?」

「別のキーワードを使う」

「なに?」

「それはね――」ユースケは言葉を区切り、カーソルを動かす。

 ブラウザを起動させ、検索ボックスにキーワードを入力した。

 アリアがそれを読みあげる。書かれていたキーワードは、

「『認識』?」

「そう。認識だ。ボクたちはいろんなものを見誤っていた」

 ユースケはジャケットのジッパーを首元まで閉じる。それから検索ボタンを押下した。 

「待ってろ、グランマ。すぐに見つけてやるからな」

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