日本郵船・商船三井・川崎汽船は買いか
- 高値掴みしたくない
- いくらなら割安なのか知りたい
- 買いなのか判断できない
これらの悩みを解決するには各社の業績から割安判断を行わなければいけません。
それができない・面倒だという方のために、各社の割安株価を算出しました。
本記事を読めば日本郵船・商船三井・川崎汽船の割安株価と買い判断がでできるようになりますので参考にしてください。

割安価格は数字を調べれば一目瞭然です。
結論 日本郵船・商船三井・川崎汽船の割安株価は○○円
結論からさきに述べると2022年時点の各社の割安株価は以下の表のとおりです。
証券コード | 社名 | 現在株価(円) | 割安株価(円) | 利回り(%) |
9101 | 日本郵船 | 10,280 | 10,753 | 13.48 |
9104 | 商船三井 | 3,520 | 3,428 | 11.67 |
9107 | 川崎汽船 | 8,450 | 7,990 | 7.51 |
※株価は2022年9月時点
現状では9101日本郵船が割安水準にいることがわかります。

買いかどうかの判断ですが、『(僕は)買わない』です。
日本郵船・商船三井・川崎汽船の買い判断の前提条件と知識
まず、前提条件として、割安かどうかの比較・判断対象を決めておきます。

割安かどうかは相対的に決まります。
比較対象は次の2つです。
- 同社の過去
- 競合他社
割安かどうかのものさしはPER(株価収益率)を用います。
- 同社の過去平均と比べてPERが低いかどうか
- 競合他社と比べてPERが低いかどうか
参考として、株価・PER(株価収益率)・EPS(一株当たりの純利益)の関係を記しておきます。
- 株価 = PER × EPS
- PER = 株価 / EPS
- EPS = 株価 / PER
各数字の調べ方は以下の記事で解説していますので参考にしてください。
日本郵船・商船三井・川崎汽船の比較
まず、日本郵船・商船三井・川崎汽船の3社のPERとEPSを過去10年分調べました。
それぞれの平均値と最低値は次の表のとおりです。
証券コード | 社名 | 平均PER(倍) | 最低PER(倍) | 平均EPS(円) | 最低EPS(円) |
9101 | 日本郵船 | 10.11 | 1.80 | 597.82 | -1572.34 |
9104 | 商船三井 | 12.37 | 1.74 | 157.84 | -494.21 |
9107 | 川崎汽船 | 8.15 | 1.16 | 556.78 | -1488.22 |
この数字から各社10年分の平均適正価格と平均利回りを求めます。
証券コード | 社名 | 現在株価(円) | 平均適正株価(円) | 平均利回り(%) |
9101 | 日本郵船 | 10,280 | 6,043 | 3.24 |
9104 | 商船三井 | 3,520 | 1,952 | 2.85 |
9107 | 川崎汽船 | 8,450 | 4,536 | 1.77 |
※株価は2022年9月時点
※計算式は、平均適正株価=過去10年分の平均PER×過去10年分の平均EPS
平均適正株価以下であれば割安と判断できます。
現在(2022年9月)の株価を確認すると、日本郵船は10,280円、商船三井は3,520円、川崎汽船は8,450円と、3社とも平均適正株価を大きく上回っています。
しかし、では現状割高なのかというとそうではありません。
なぜならここ1・2年ほどで3社ともEPSが大きく改善されているからです。
西暦(年) | 日本郵船(円) | 商船三井(円) | 川崎汽船(円) |
2013 | 111.12 | -494.21 | 113.57 |
2014 | 194.85 | 159.97 | 177.47 |
2015 | 280.60 | 118.05 | 286.02 |
2016 | 107.54 | -475.01 | -549.48 |
2017 | -1,572.34 | 14.65 | -1,488.22 |
2018 | 119.57 | -132.05 | 111.13 |
2019 | -263.80 | 74.91 | -1,192.08 |
2020 | 184.38 | 90.93 | 56.49 |
2021 | 842.55 | 250.99 | 1,165.33 |
2022 | 5973.76 | 1970.15 | 6,887.53 |
以下のように、EPSが上がれば株価が上がってもPERは変わりません。
- 株価1,000円 = PER10倍 × 100円
- 株価10,000円 = PER10倍 × 1,000円
次に、現在のPERと過去のPERを比較してみましょう。
証券コード | 社名 | 現在株価(円) | 現在の適正株価(円) | 現在のPER(倍) | 過去10年の平均PER(倍) |
9101 | 日本郵船 | 10,280 | 60,389 | 1.80 | 10.11 |
9104 | 商船三井 | 3,520 | 24,361 | 1.74 | 12.37 |
9107 | 川崎汽船 | 8,450 | 56,111 | 1.16 | 8.15 |
※株価は2022年9月時点
※現在の適正株価 = 現在のEPS × 過去10年分の平均PERで計算
このように比較すると、現在のPERは過去10年平均よりも5.62~7.10倍も割安になっていることがわかります。
理由は、EPSの伸びに対して、株価が追いついていないからです。
現在のPESと過去10年の平均PERで株価を計算すると上図の適正株価にならなければいけません。
株価でみても5.87~6.92倍も割安になっていることがわかります。
しかし、では買いなのかというと(僕)は買いません。
日本郵船・商船三井・川崎汽船を僕が買わない理由
- EPSが下落する可能性が大きい
- 配当金が安定しない(減配・無配に転落する可能性が大きい)
- FIRE後の生活費を賄うには不安が大きい
EPSの推移をみると、現在のEPSは異常な高さを示しています。
原因は、異常なインフレのおかげで海運の運賃も高騰しているためです。
しかし、いずれインフレが落ち着いてくれば運賃は下がり、業績も落ちつくでしょう。
業績が落ちればEPSも下落する可能性が大きいです。
短期的には需給によって変動しますが、基本的に株価はEPSと連動します。
したがって、EPSが下がれば株価も下がり、減配・無配のリスクは上がります。

このインフレがどう落ち着くのか読めないので、買いたくても買えません。
インフレが収まっても元の水準には戻らず、高止まりする可能性もあるので、買い判断をされる方はインフレの行方の仮説を持って買った方が良いでしょう。
しかし、たとえ高止まりしても、過去のEPSの推移が安定していないことが一目瞭然なので僕は買えません。
僕が日本の高配当株に投資する目的はFIRE後の生活費を賄うためなので、配当金が安定しない企業は投資不適格となります。
日本郵船・商船三井・川崎汽船を買うなら割安価格で
懸念点はありますが、それでも配当利回りの高さは魅力的に映る方もいるはずです。
そういう方は、減配・無配のリスクがあることを承知したうえで、せめて記事の冒頭で示した割安価格以下で買いましょう。
証券コード | 社名 | 現在株価(円) | 割安株価(円) | 利回り(%) |
9101 | 日本郵船 | 10,280 | 10,753 | 13.48 |
9104 | 商船三井 | 3,520 | 3,428 | 11.67 |
9107 | 川崎汽船 | 8,450 | 7,990 | 7.51 |
※株価は2022年9月時点
※計算式は、割安価格 = 過去10年間での最低PER × 現在EPS
※最低PER0は除外しています。
日本郵船・商船三井・川崎汽船の買い判断 まとめ
- 一番利回りが良いのは日本郵船
- 一番割安なのは川崎汽船
- 3社とも減配・無配リスクが大きい
- 高配当株ポートフォリオの主力にはならない
- FIRE後の生活費にも向かない
利回り | 10点 |
割安度 | 10点 |
安定性 | 3点 |
FIRE貢献 | 1点 |
平均 | 6点 |
※10点満点での評価
減配・無配に転落する前に、短期間で売り抜けるなら買い判断もあり得るでしょう。
しかし、高配当株投資は基本的に長期的に行うものです。
安定的な配当やFIRE目的であれば高配当株投資の主力にはなり得ません。
買うとしても、ポートフォリオ全体の3~4%以下に抑えれば、リスクとリターンのバランスが取れるでしょう。

東証一部上場銘柄は33業種に分かれているので単純割合で3.3%以下が妥当です。
リスクの大きさからするとその半分くらいでも良いかもしれません。
いずれにしても、日本郵船・商船三井・川崎汽船の3社とも、買い判断は今後のEPSがどう推移していくかにかかっています。
買いたい方はぜひ3社の行方に注目しながら監視しましょう。

それでは皆さん、ご安全に!👉
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