本書の概略

本書は、PHP文庫から刊行されたビジネス書です。
森先生が作家デビューをしてから少し経ったころに記者から座右の銘を聞かれ、その答えが『なにものにもこだわらない』だったそうです。
しかしこの言葉自体にこだわりがあるわけではなく、よく聞かれる質問なのであらかじめ答えを用意しておこうと決めただけのようです。
つまり、こだわらないことにも、こだわっていないのです。

それってこだわってるってことなるのかな?

何だかややこしいよね(笑)
この『こだわらない』状態を森先生の視点で鋭く解説されています。
読書感想文(レビュー・要約まとめなど)
こだわりは省エネ
上記の座右の銘のように、こだわりを持っておくと物事の決定を簡略化することができます。
いくつも選択肢があっても、こだわりを基準に決めることができるためです。
マニュアルや作業手順書の作成なども安全や品質にこだわっているからといえるでしょう。
こだわらない状態はエネルギーを使う
一方でこだわらない状態はその都度、状況を見極めて考えて行動しなくてはなりません。
一歩間違えば死んでしまいかねませんから常に緊張を強いられます。

こだわったほうが良さそうだね。

それは時と場合によるんじゃないかな?
こだわりすぎると好奇心を失う
洗練されたマニュアルどおりに生きればそれなりに生きていきやすいでしょう。
しかし、そこからは何も新しいモノが生まれません。
こだわりばかりにこだわっていると視野が狭まり、新しいものが目に入らなくなってしまいます。
脳が新しいモノを受け付けなくなると、そこからは老いていくだけです。

クリエイターにとっては致命的かも?

けっきょくこだわることは良いこと? 悪いこと?

良い悪いじゃなくて、今どうするべきか状況に応じて考えることが大事なんじゃないかな?
少しはこだわるというバランス感覚
こだわるべきタイミングやポイントというものがあるように思います。
それらは人によって違うでしょうし、同じ人でもそのときの気分で変化もするでしょう。

生まれて死ぬまで初志貫徹できる人なんていないわ。
元々、完全にこだわることも、完全にこだわらないことも不可能だと思えば、こだわることにもこだわらないことにも意味が無くなります。
言葉にすることの無意味さ
完全にこだわらないと言ってしまうと、こだわらないことにこだわってしまいます。

言葉にした瞬間に完全性は失われてしまうんだ。
森先生は、これを『言葉はデジタル』と言い表しています。
人間の感情は複雑であるにもかかわらず、言葉にするとそこに含まれる多くの情報がそぎ落とされてしまいます。これはまさにアナログの周波数をデジタルの0と1に変換したときと同じ状態といえるでしょう。
非常に的確かつ森先生らしい表現ですね。
まとめ
生きてるうちは生きることにこだわっている状態です。
すべてのこだわりから解放されたときは、死んだときです。
生きている間は適度にこだわり、適度にこだわらない。
状況に応じて臨機応変に対応する。
こんなバランス感覚を持って楽しく生きられたら幸せですね。

ありのままの心を変幻自在に操れる自由人、森先生の生き方に憧れます。
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