多作な森博嗣先生

森博嗣先生は1996年にデビューして以来、毎年多くの作品を世に出しているわ。

ボクなんか一作長編書くだけで何か月もかかるのに・・・ほんとうにすごいよね(´▽`*)
今回は、最も尊敬する作家のひとりである森博嗣先生の作品をランキング形式で紹介します。
これまで120作以上読んできたボクが自信をもってオススメできる作品を厳選しました。
すでに森作品のファンの方も、これから読み始める方も、読んでいない作品があったらぜひ手に取ってみてください。

それじゃあ第5位からいってみよう!
第5位
相田家のグッドバイ
- 介護や子育てに悩む30代以上の読者
- 家族の絆を描きたい作者
『相田家のグッドバイ』は相田家で生まれ育った少年の視点から日常を記した日記のような作品です。その少年が青年、壮年へと年を取るなかで起きた相田家の出来事を淡々と綴っています。
お母さんは息子の教育に熱心で、既製品は絶対に買い与えない方針のようです。しかし、自分で作るための道具は高くてもあっさり出す、といったメリハリが印象的です。
お父さんは自営業で建築設計を行っています。ある日息子に描いた展開図をそのまま組み立て、模型を作ってみせるのですが、そういう手際の良さが魔法のように感じられ、少年の心を打ちます。
こういう両親の許で育てば子供は自然と勉強するようになるでしょう。
大人になってからの少年は家を出て自立し、新たな家族を作り、両親と袂を分かちます。
お父さんは介護が必要になっても息子に頼りません。この辺りは潔く感じるでしょう。家族といえども、互いが一人の人間として尊重し適切な距離を取っています。

家族だとどうしてもどこかで甘えが出ちゃうよね。

べたべたしない距離感が心地良いなあ☆
両親を見送ったあとの台詞が印象的ですし、また最後に妻に言いかけた言葉が物語の印象を決定づけています。華やかな物語ではありませんが、家庭でお悩みの方は参考になるし、羨ましく思うでしょう。

ほんとうに両親のありがたさが身に沁みるわ(ノД`)・゜・。
第4位
喜嶋先生の静かな世界
- 勉強嫌いな学生
- アカデミックな世界を書きたい作者
『喜嶋先生の静かな世界』は学生の視点から喜嶋先生の言動を観察しています。
日本の場合、多くの学生は受験勉強から解放され、束の間のモラトリアムをたのしむ場所となっています、しかし、本作を読めば、大学は遊ぶところではなく学びに行くところだと再認識することができるでしょう。
研究者というのは周囲から奇異な目を向けられがちですが、その世界にどっぷり浸かるとたのしさを味わうことができます。
本来、勉強というものは強制されるものではなく、自発的に行うものです。
では、なぜそうならないのか? その理由は明白で、要するに興味が無いからでしょう。
本作では、この興味が出る瞬間が描かれています。
自分が何のために勉強しているのかわからない方はぜひ一読することをオススメします。きっと、勉強することの本質がつかめるでしょう。

知りたいことを学べば勉強はたのしくなるよ(^_-)-☆
第3位
スカイ・クロラ
- 飛行機が好きな読者
- 大人になりたくない読者
- 詩が好きな読者
- 本格ファンタジーを書きたい作者
『スカイ・クロラ』はキルドレと呼ばれる大人にならない子供たちが飛行機に乗って戦うお話です。

キルドレは、いわゆるピーターパンシンドロームってやつかしら?

この作品、誰と何のために戦っているのか分かりにくいよね💦

大人という抽象的な相手と戦ってるんだよ。
巨大な敵に立ち向かう子供たちという設定はファンタジーとしては王道ですし、自由な空への憧れや汚れてしまった大人たちとの対比が印象的です。パイロットもひと昔前までは人気の高い職業のひとつだったといえるでしょう。
現実から離れてファンタジーの世界に没頭したい方には最適な作品です。

大人になるって何だかネガティブに聞こえるのよね。

本来なら自由が増えて楽しいはずなんだけどね(;´∀`)
第2位
すべてがFになる
- まだ一作も森博嗣先生の小説を読んでいない読者
- 密室殺人のミステリーを読みたい読者
- 理系ミステリーを書きたい作者

原点にして頂点。多くのクリエイターに影響を与えた森博嗣先生のデビュー作だよ。
『すべてがFになる』は森先生の作品を語るうえでどうしても外せない作品です。
真賀田四季という天才を生みだし、のちに続く多くシリーズの礎となったばかりでなく、多くのクリエイターに影響を与えた功績は文学のみに留まりません。
また、科学技術が発展した現代において、物理的なトリックに限界が見えていました。テクニカルな手段を駆使すれば、密室殺人だろうが遠隔殺人だろうが何かしら方法はあるだろう、と不思議に思えなくなったためです。この状況を打破したのが本作といえるでしょう。

森先生の作品は、従来的なハウダニットやフーダニットを否定する傾向が見られるわね。
第1位
そして二人だけになった
- 今ある常識から脱却したい読者
- 相対性理論が好きな読者
- 一作のみに全力を注ぎたい作者

シリーズものもおもしろいけど、一作のみで味わう衝撃は森先生の作品のなかでも断トツだよ!
『そして二人だけになった』は、新潮社から刊行された単発の作品になります(※2020年現在は講談社からも刊行)。
本作は、一見たんなる脱出もののようですが、じつは物理的な脱出よりも、従来の価値観からの脱却を促しています。
私たちは自分というフィルターを通してしか外の世界を観測することができません。メタ作品ではありませんが、自分から離れて読まなければとうてい受け入れられない結末でしょう。
それでも読む価値はじゅうぶんにあります。この作品に森先生の神髄がすべて詰まっているとボクは考えています。

これまで持っていた価値観を根底から揺さぶられてしまったわ。もう参りました! って感じ┏〇ペコッ
総評
ランキング形式で紹介しましたが、森先生の作品はハズレが少なく甲乙つけがたいです。
そんななかでもひときわ強く印象に残っている5作品をランクインさせていただきました。
S&Mシリーズから始まる大長編もおもしろいですが、単発の作品にも強烈なインパクトがあります。
これから初めて森先生の作品を読まれる方は『すべてがFになる』から順番にシリーズものを読んでほしいですが、一作だけ読みたいという方は『そして二人だけになった』を強くオススメします。
さらにミステリーではなくファンタジーが読みたいなら『スカイ・クロラ』、理系の方は『喜嶋先生の静かな世界』、年配の方は『相田家のグッドバイ』が共感しやすいでしょう。
他にもたくさんの作品が出版されています。
ぜひ、ご自身で読んでみてあなたのランキングを作ってください。

森先生の作品は数が多いから紹介しきれないわね(;^ω^)

エッセイなどは別の記事で紹介するから楽しみにしててね!
コメント