※本記事には、ネタバレが含まれています! ご注意ください!
2021年マンガ大賞の第1位『葬送のフリーレン』の感想を書きます。
未読の方には少しでも『葬送のフリーレン』の魅力が伝わるように、既読の方には共感や「あ、言われてみれば、それある!」となってもらえるように書けたらなと思っております。
『葬送のフリーレン』への僕とは違うご意見、ご感想があれば、ぜひとも『つくろぐ!!』にコメント、ご投稿くださいませ!

では、さっそく書いていきます。
1000年以上生きたエルフは旅をする、魔王を倒した後にも続く世界で
最初の見出しで触れましたが、『葬送のフリーレン』は異世界ファンタジーの旅モノです。主人公はタイトルにも出てくるフリーレンという長命のエルフの女の子(?)になります。
で、このフリーレン、魔王を倒した勇者・ヒンメルが率いるパーティーの魔法使いだったんですよ。
僕は若干、トキめく設定。ほら、元勇者とか元傭兵とか、元○○ってなんか凄そうな人物感出るかなと。現実でも元警官、元弁護士とか言われると凄そうでしょう?
元勇者パーティーの魔法使いフリーレン。彼女の旅の始まりは冒険の終わりからです。
フリーレンたち勇者パーティーは魔王を倒し、冒険へと旅立った王都へと戻りました。凱旋ですね。出迎えてくれる人々に、けれどフリーレンは無表情。フリーレンはクールなキャラなのです。感情の起伏が見られないし、しゃべり方も淡々としています。
それでも勇者、僧侶、戦士たちとは『仲間』として受け入れられていました。ですから、フリーレンは仲間たちと共に、これから訪れるだろう平和な時代に想いを馳せます。50年に一度の流星群が降りしきる夜空を見ながら。そしてまた『50年後、流星群の夜』に再会を約束するのです。
はい。引っかかる方、いるかと思います。再会の約束は50年後。「いや、遠すぎね?」となるかと。
再会の約束のきっかけをつくったフリーレンは1,000年以上生きているエルフなので、50年はたいした長さじゃないのです。
でもね、ほかの仲間たちには違う。長いんです。それでも、短命な人間であるヒンメルはさらっと50年後の約束をします。フリーレンのことを10年ともに冒険した仲間として理解し、受け入れているからでしょう。少なくとも僕はそう思いました。
フリーレンの感情を、難なく受け止める勇者・ヒンメル。イケメンです。女性の方々、見てやってください。神対応ならぬまさに勇者対応です、ヒンメル。
約束の50年後。勇者ヒンメルはーー
さて、物語の時間は一気に進み、50年が過ぎ去ります。再会の日となったわけです。もちろん、みんな年老いてます(笑)。ヒンメルをはじめ、みんなおじいちゃんです。フリーレンだけが老いてません。というか、変わってないんですよ。
なんかズルりぃな、と僕としては思いつつ、読み進みました。
約束通りに、フリーレンはすっかり老人になってしまった仲間たちと共に50年に1度の流星群を見に行くんです。ちょっとした旅行くらいの感じでしょうか。
で、ヒンメルは若かったころを懐かしみながら、こう言います。
『色々なところを旅をしたね。何もかもが新鮮で煌いて見えた。その美しい思い出のなかには、いつも仲間達がいた。』(引用 1巻・p26、p27)
僕は、心に染みた。なんというかね、青春時代を思い出すのよ。昔の友達たちに連絡したくなったくらい、感動してしまったわけですよ。もう、このあたりで僕は涙目だったんですがね。
流星群の夜空を見てすぐに、ヒンメルは亡くなります。
たぶん、ヒンメルは自分の死期を分かっていました。それを思わせるセリフが、
『ありがとうフリーレン。君のおかげで最後にとても楽しい冒険ができた』(引用 1巻・p27)
と流星群を見ながら言ってるんですよ。
僕は涙目でした。号泣ではなく、なんというか深く染み入ってくるような悲しさと寂しさでしょうか。ともあれ、好きです。
でも、作中のフリーレンは無表情。ほかの仲間達も結構、穏やかな表情です。どこかでヒンメルの死を分かっていたのでしょう。
けれど、フリーレンはヒンメルの葬儀で気づきます。彼について知らないことがまだまだあったな、と。
彼女にとってヒンメルとの旅は10年でした。短いのです、1,000年を生きるフリーレンにとっては。
フリーレンは彼のことを知らないこともあると気づいて、思い知るのですよ。もう彼とは出会えないし、これ以上、彼を知ることはできないと。だから、フリーレンは『人間を知る』旅に出ようと決めます。
美しさが際立つハイファンタジー
以上が、フリーレンの旅の始まりとなります。『人間を知る』旅と言われても……と思われる方に、僕の解釈をお伝えすると。
人間ともっと関わろう、というところでしょうか。
僕、人見知りなんですね。なんで深く誰かと関わることを避けたりしてしまいます。だからこその解釈かもですが。
さて、『葬送のフリーレン』の魅力を、一旦、まとめてみます。
これまでのテキストでなんとなく伝わるかと思いますが、『葬送のフリーレン』は切なくも美しいシーンが多いのです。
序盤は特に別れのシーンが切なくも美しいのです。ヒンメルに続き、昔の仲間が亡くなっていきます。ただね、別れても思い出は残っていくもの。もう会えない誰かの影響は残っていくものなんですよ。
『葬送のフリーレン』の2つ目に推したい魅力は、回想です。
特に勇者・ヒンメルとの思い出は、フリーレンに影響を与え続けます。ヒンメルが言ったことを思い出して、フリーレンは行動を決めたりします。
例えば。
旅の道中で立ち寄った村でフリーレンは、とある花を探します。半年間も。理由が明らかになるのは、回想なのです。
フリーレンが探していた花は生きていたころのヒンメルに、
『いつか君に見せてあげたい。』(引用 1巻 p105)
と言われていた花だったのです。その花を探し出した時、フリーレンはつぶやきます。
『遅くなったね、ヒンメル。』(引用 1巻 p106)
淡々としたセリフなのに伝わってくる情感。このあっさりしつつも心に染み入るセリフのやり取りも、僕は推したい魅力の一つですね。ちょっと大げさに言うと、時間も空間も超えて繋がっているんですね、フリーレンと勇者・ヒンメルの絆は。
一見ナルシストっぽい行動だけど
また勇者パーティーであったフリーレンたちの冒険の旅、その痕跡はところどころに残っていたりもします。例えば、かつて救った村があったり、銅像が残っていたりします。
銅像のエピソードとして、僕が好きなエピソードをお伝えすると。
フリーレンが立ち寄った町では、祭が開催されます。その町はかつてフリーレンたち勇者一行が救ったことを記念して行われる祭でした。
でも、月日が立ちすぎて、フリーレン本人を町の人たちは誰も覚えていない。
でも、祭だけは続いている。ヒンメルたちの銅像を中心に。
フリーレンはヒンメルが銅像を作って貰っている時のことを思い返します。フリーレンはヒンメルが銅像を作って貰う理由を聞きます。
『君が未来で一人ぼっちにならないようにするためかな。』(引用 2巻 p117)
長く生きるフリーレンを理解してくれて、自分たちが仲間としてそばに居たという思い出を確かな形として残すためですね。
いや、書いてて思う。ヒンメル、マジでイケメンだな。
ともあれ、町が続く限り、祭は消え去りません。フリーレンとヒンメルたちが旅した記憶の欠片を残し続けてくれるわけです。
本作の良さを語れるかたお待ちしております!
さてはて。
フリーレンの旅、その内容を抜粋してみましたがいかがでしょうか?
ちょっとでも『葬送のフリーレン』の魅力が伝わったならば幸いです。本当はもっと語りたい。フリーレンは新しい旅の仲間と出会うとか、昔の仲間の戦士、僧侶も魅力的だとか語りたい!
語りたいのですが、あまりに長文になってしまうのも、どうかと思うので、この辺で。
既読の方で別の切り口があるよ、という方もコメントや投稿をお待ちしております!

未読の方はぜひとも手に取ってくださいませ!
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