【2914】JT(日本たばこ産業)は買いか
- 高値掴みしたくない
- タバコって今後も売れるの?
- 買いなのか判断できない
これらの悩みを解決するには業績から割安判断を行わなければいけません。
それができない・面倒だという方のために、JTの割安株価を算出しました。
本記事を読めばJT(日本たばこ産業)の割安株価と買い判断ができるようになりますので参考にしてください。
結論 JTの割安株価は○○円
結論からさきに述べると2022年時点のJTの割安株価は次のとおりです。
証券コード | 社名 | 現在株価(円) | 割安株価(円) | 利回り(%) |
2914 | JT | 2,374.5 | 2,293 | 6.11 |
現状は少し割安価格には届いていないことがわかります。
しかし割高というほどでもありません。

買い判断は『買っても良い』です。
JTの買い判断の前提条件と知識
まず前提条件として、割安かどうかの比較・判断材料を決めます。

割安かどうかは相対的に決まります。
比較対象は次の2つです。
- 競合他社
- 同社の過去
割安判断はPER(株価収益率)で求めます。
- 同社の過去平均と比べてPERが低いかどうか
- 競合他社と比べてPERが低いかどうか
参考として、株価・PER(株価収益率)・EPS(一株当たりの純利益)の関係を記しておきます。
- 株価 = PER × EPS
- PER = 株価 / EPS
- EPS = 株価 / PER
各数字の調べ方は以下の記事で解説していますので参考にしてください。
JTのたばこ事業には競合他社が存在しない
JTの場合、主要な事業のたばこが独占事業となっているため国内での競合他社が存在しないため、他社との比較はできません。
食品事業は【2802】味の素や【2269】明治HLDなどが存在します。
JTの同社の過去との比較
JTは他社と比較できないため、同社の過去とだけ比較します。
証券コード | 社名 | 現在PER(倍) | 平均PER(倍) | 最低PER(倍) | 現在EPS(円) | 平均EPS(円) | 最低EPS(円) |
2914 | JT | 12.46 | 14.48 | 12.05 | 190.76 | 210.90 | 171.80 |
この数字から過去10年分の平均適正価格と平均利回りを求めます。
証券コード | 社名 | 現在株価(円) | 平均適正株価(円) | 現在利回り(%) | 平均利回り(%) |
2914 | JT | 2,374.5 | 3,053 | 6.31 | 4.09 |
このように、過去の平均と比較すると現在は株価(2,374.5円)からみてもPER(12.46)からみても割安で利回りも良いとわかります。
JTの懸念材料
- EPSの下落
- 配当性向の高さ
- 株主優待の廃止
EPSの下落
株価とPERは良いのですが、EPSが平均を下回っているため、そこが懸念材料です。
西暦(年) | JT(円) |
2013 | 171.80 |
2014 | 235.48 |
2015 | 199.67 |
2016 | 270.54 |
2017 | 235.47 |
2018 | 219.10 |
2019 | 215.31 |
2020 | 195.97 |
2021 | 174.88 |
2022 | 190.76 |
過去最低は2013年の171.80円で最高は2016年の270.54円。
2022年現在は190.76円で平均EPSの210.09円よりも下回っています。
2016年をピークにEPSが下がり、それに釣られて株価も下がっていることがわかります。

配当性向の高さ
配当性向が高いと増配の余地がなく、減配リスクが高まります。
一般的には30~50%が適切な配当性向と言われているなか、2021年のJTの配当性向は73.4%と高い状態にあります(最大は2020年の88.1%)。
株主優待の廃止
2022年2月14日には増配と同時に株主優待の廃止も発表されています。
優待を楽しみにしていた個人投資家にとってはマイナス材料でしょう。
JTの株価・EPSが下落した原因
JTの株価とEPSが下がり続けた原因はおよそ以下のとおりです。
- たばこ離れ
- ロシア問題
たばこ離れ
まず、一人当たりのたばこの消費量が落ちています。
一般社団法人日本たばこ協会の調査によるとたばこの販売数量・代金ともに年々減少傾向にあることがわかります。

禁煙の流れは世界的に加速しており、今後も続くでしょう。
当然JTの売上に影響が出ます。
売上が下がればEPSも下がり、株価も下がるのが当然の流れです。
ロシア問題
JTのたばこの売上の割合は日本よりも国外の方が大きいです。
なかでもロシアへの依存とはトップで、ロシア・ウクライナ戦争により多大な影響を受けています。
今後、ロシアから撤退という話になれば、売上は大きく棄損することになるでしょう。
JTは好材料もある
前述したように、JTには大きな懸念材料がありますが、一方で好材料もあります。
- 国内に競合他社が存在しない
- 独占事業で値上げし放題
- 電子たばこ(加熱式たばこ)の売上増
- ディフェンシブ株
- なんだかんだ言っても吸う人は吸う
- 筆頭株主が財務大臣
競合他社が存在しないので値上げし放題
JTは実質的にたばこの販売事業を独占しています。
独占しているということは、価格競争が起きないため値上げし放題です。
売上数量が減っても値上げでカバーできるところがJTの強みとなります。
電子たばこの売上増
また、紙巻きたばこの販売数量は落ちている一方、電子たばこは増えています。
年度 | 数量 | 対前年比 | 金額 | 対前年比 |
2021 | 111 | 113.1 | 2,936 | 119.1 |
2022 | 125 | 112.6 | 3,461 | 117.9 |
ディフェンシブ株は景気に影響されにくく、たばこも同様です。
禁煙の流れはこれからも続くでしょうが、それでも吸いたい人は吸います。
健康を意識している人も電子たばこを代替品として使うようになるでしょう。
筆頭株主が財務大臣
JTは国策事業として、たばこの独占販売を行っています。
もしJTが潰れるなら、それは日本が破綻するときなので気にする必要はありません。
JTの買い判断 まとめ
- 利回り6%超
- 禁煙の流れは止まらない
- 吸う人は吸い続ける
- チャート的には底打ち感がある
- 電子たばこで売上回復を図っていく
利回り | 9点 |
割安度 | 6点 |
安定性 | 5点 |
将来性 | 3点 |
FIRE貢献 | 7点 |
平均 | 6点 |
JTは財務大臣が保有する国策企業で安定感があります。
ディフェンシブ株ですし、たばこの需要自体がなくなることはありません。
積極的に買い増すほどではありませんが、ポートフォリオの一角にはなるでしょう。
証券コード | 社名 | 現在株価(円) | 平均適正株価(円) | 割安株価(円) | 割安時利回り(%) |
2914 | JT | 2,374.5 | 3,053 | 2,293 | 6.11 |
現状は底値とまではいかないまでも、平均PERから算出できる平均価格よりは割安です。
ただし、売上を回復させていかなければ株価も配当も落ちてしまいます。
今後はロシア問題の解決と電子たばこの成長が鍵となるであろうJTの活動に注目しましょう。
健康に悪いのでたばこを買う必要はありませんが、電子たばこや食品、そして株を買って応援するのも良いかもしれません。

それでは皆さん、ご安全に!👉
コメント